学校法人聖公会盛岡こひつじ学園理事長赤坂徹先生のページです! |
≪2023年12月・2024年1月 合併号へ≫ |
1.「災害は忘れた頃にやって来る。」だから忘れずに備えましょう。 1月1日に能登半島地震があり、その後の積雪で建物の倒壊が進み、余震や山崩れにより道路の補修や電気、水道などのライフラインの復旧が遅れています。繰り返す災害は予測できませんが、私達が東日本大震災で学んだことを生かして対応しましょう。大震災があった3月11日か、救急の日の9月9日を「家族防災の日」と決めて対策してみてはいかがでしょうか。 1)非常食、非常用備品を確認しましょう。 @非常食:賞味期限を確認し、期限間近なものは消費して、家族防災の日に合わせて補充。 A非常用備品:ラジオや懐中電灯の乾電池、携帯電話の充電、車のガソリンを補給。 B携行用備品:現金、携帯電話、パソコン、運転免許証、常備薬(整腸剤、解熱鎮痛薬、バンドエイド、包帯など)、処方された医薬品(内服薬、外用薬)、保険証、診察券、お薬手帳(緊急時に処方箋の代用可)、母子手帳などを準備。 2)連絡方法を家族で確認しましょう。 学校、学童保育、幼稚園、保育園などのお子さんの居場所と連絡方法、避難場所を確認。施設ごとの災害時対応法を確認。 3)電気、水道、ガスが供給されない緊急事態に備えましょう。 @
電気:オール電化では室内灯、エアコン、洗濯機、固定電話、トイレ(ウオシュレット)、 風呂、電気コンロ、電子レンジ、オーブン、電磁調理器具(IHヒーター)などが使用不可。暖房器具、コンロ、風呂の熱源を都市ガス、プロパンガスや石油を併用。風呂水を溜めて、トイレの排水や洗濯に利用。停電になって外出する時、暖房器具や炊事器具などのスイッチを切り、念のためブレーカーを遮断する。留守中に通電が再開し、暖房や炊事器具から引火して火災になることもある。 A
飲料水:ペットボトルなどの容器に飲料水を備蓄。 B
ガス:都市ガス、プロパンガスが使えない時にカセットコンロを代用。 C
停電時は信号機も動かないので、自動車や自転車の運転、歩行時にも注意。 4)災害時の生活環境 @自宅や避難所で使える内履き用の靴を用意。窓ガラスや破損した窓ガラスや家具で怪我をしないように注意。深い刺し傷から破傷風になることもある。 A自転車用のヘルメットを含め人数分を用意。 B洗濯ができないので着替えが出来るように、暖房が止まるので着重ねで対応。 C保存、廃棄、暖房など多目的に使える新聞紙、紙袋、ビニール袋などを用意。 D調理前の手洗い、使い捨ての手袋を使用。排泄後に石鹸と流水による手洗い。 5)避難所での生活 A)地域で指定された第1次避難所 @避難所使用の期間が不明で、一時帰宅が可能であれが1週間程度に必要な物を持参。 A居住部分を清潔に使用。共同で利用する調理室、貯蔵庫、トイレは整理、清潔の保全。 B入浴施設(自衛隊など)は利用時間を守り、心身の健康のために活用。 B)地域で指定された第2次以降の避難所 @避難期間が長いので、備え付けの家具や器具以外で日常生活に必要な物を持参して設置。 A居間、寝室、トイレ、浴室、貯蔵庫を転居後に利用される方の事を考えて大事に使用。
2.災害時のアレルギー児の対応マニュアルから(日本小児アレルギー学会作成) A)気管支喘息 @発作強度に合わせた治療薬(:吸入薬、経口薬、貼付薬など)が手元にあるのを確認する。 A発作時にはβ2刺激薬を吸入する。効果が不十分なら救急外来を受診もしくは救急車を要請する。停電の場合、電動ネブライザーが使えないので、電池式のネブライザーもしくはハンドネブライザーを使う。年少児には紙コップをハンドネブライザーの先端につけて口と鼻を覆い、吸気時に噴出させる。 B)アトピー性皮膚炎 @炎症を抑えるためにステロイド外用薬を1日2回塗布する。常用している外用薬が手元にない場合、薬剤師に相談して同等薬を代用する。 A痒みを抑える抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を内服する。濡れタオル等による皮膚の冷却が有効な場合があるが、乳幼児では低体温に注意する。 Bスキンケアには皮膚を清潔に保ち、保湿薬を外用する。 C)食物アレルギー (1)アナフィラキシーへの対応 @アドレナリン(ボスミン又はエピペン)を大腿部中央の前外側に筋肉注射(筋注)する。 A仰臥位で下肢を挙上する。突然の体位変換を避ける。 Bアドレナリンの効果が乏しい場合、5〜15分間隔で筋注を繰り返し、救急車を要請する。酸素吸入と急速輸液を併用する。 (2)災害時のアレルギー食対応 ☆誤食を防ぐための指導 @非常食や炊き出しにはアレルギーの原因となる食物が混入している可能性がある。 A加工食品を食べる前には、原材料表示(鶏卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナッツ、エビ、カニは微量でも表示)を確認する。 ☆アレルギー対応食品の配布 @アレルギー食材を配布する取り組みがある場合には患者に紹介する。 A牛乳アレルギー患者用ミルクは、牛乳アレルギー児に優先して配布する。 Bアルファ化米は、米アレルギーでなければ食物アレルギー児でも食べられる。ただし、五目ご飯もあり、原材料表示には注意する。 |