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学校法人聖公会盛岡こひつじ学園仁王幼稚園 理事長だより2024年 臨時5月号       赤坂 徹

 お子さんの症状から病名を推測したり、適切な対応を考えたいと思います。今回は皮膚(ひふ)

に現れる発疹(ほっしん)についてまとめてみました。次回は呼吸器症状や消化器症状についてお話し

ます。

子どもの発疹

 皮膚に現れる発疹には皮膚単独と発熱やかゆみを伴う身体全体の病気の一部として現れ

る場合がある。病名や症状に漢字が多いので、ふりがなを付け、( )内に一般名を記入し

た。発疹には大きさが同じもの、大小不同のもの、その部位、季節性があって夏に向けて

増えるもの、感染がない状態から細菌が侵入してジクジクして(うみ)が出てきて、痂疲(かひ)(かさ

ぶた)できるもの、家族などの集団の中で細菌やウイルスなどによって流行するものがあ

る。皮膚の状態だけで診断が難しい場合には小児科医を受診してほしい。

1.小さな発疹(丘疹(きゅうしん))ができるもの

1)汗疹(かんしん)(あせも)

 汗の出口がふさがれて炎症が起こったもので、ひたいや首の周り、胸、背中などの汗の

出やすい所に多く見られる。

2)溶連(ようれん)(きん)感染症(かんせんしょう)(しょう)紅熱(こうねつ)

 溶連菌という細菌がのどに感染して、のどの痛み、発熱、身体や手足に小さな赤い発疹

が密集して現れる。赤い発疹が猿(猩)の尻のように見えるので猩紅熱と呼ばれていた。

のどの粘膜が真っ赤になり、舌が苺のようなぶつぶつが出たり、首のリンパ腺が腫れるこ

とがある。

3)風疹(ふうしん)(三日ばしか)

 風疹ウイルスによりうつってから2〜3週間後に赤い小さな発疹が体中に出る。発熱は全

くないか3日間高熱が出ることもある。3日間で治るので三日ばしかと呼ばれるが、大人が

かかると症状が強く出る。

4)伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)(水いぼ)

 丸く光ったうつるイボで、痛みもかゆみもない。つぶすと白いかたまりが出てくる。こ

の中にウイルスがたくさん含まれていて接触するとうつる。

2.少し大きな発疹ができるもの

1)麻疹(ましん)(はしか)

 麻疹ウイルスにより初めの2〜3日は発熱、咳、鼻水、目やにが出る。一旦熱が下がると

同時に全身に少し大きな発疹が出て、3〜4日間高熱が続く。大人がかかると症状が強く

出る。

2)伝染性(でんせんせい)紅斑(こうはん)(りんご病)

 ほっぺがりんごのように赤くなるのでリンゴ病と呼ばれる。太ももや腕に赤い斑点やま

だら模様が出来る。ほほがほてったり少しかゆくなることもある。

3)蕁麻疹

 蚊に刺された時のように皮膚がモコモコと盛り上がり、形も大きさも色々でとてもかゆ

がる。食物アレルギー、薬品アレルギー、動物、植物、化粧品、寒さ、感染などたくさん

の原因がある。急に発現して1時間位で消失することが多い。

4)アトピー性皮膚炎

 アレルギー疾患の家族歴があると、乳幼児期からかゆみを伴った乾燥肌(カサカサ肌)

が顔面に認められる。それ以降は頸部(けいぶ)(ひじ)(ひざ)(こし)に拡大する。感染を伴うと、ジクジク

した膿痂疹(のうかしん)(とびひ)となって感染部位が大きくなる。

3.膿疱(のうほう)(うみ)を伴うもの

1)多発性(たはつせい)汗腺(かんせん)膿瘍(のうよう)(あせものより)

 汗の出口にブドウ球菌が侵入して、乳幼児の頭部、背部、胸部、臀部(でんぶ)丘疹(きゅうしん)(小さな

発疹)、膿疱(のうほう)(膿を持つ発疹)、紅色結節(赤い硬い発疹)、膿瘍(のうよう)(膿を持つ大きな発疹)を

形成する。大きくなると周辺のリンパ節が腫れて発疹に発赤、圧痛を伴うことがある。

2)膿痂疹(のうかしん)(とびひ)

 ()り傷や虫刺され、あせも、湿疹などに化膿菌が入り込んで、水ぶくれができる。これ

をかきこわした手で他の場所をかくと、そこに水ふくれが「とびび」する。夏に多い病気

である。膿疱が広がっていくと火傷のようになって入院治療が必要になる場合がある。

4.水疱(すいほう)(水ふくれ)を伴うもの

1)手足口病

 ウイルスより手のひら、足のうら、口の中に小さな水ぶくれが出来るが、臀部や膝にで

きることもある。高熱がでることもあり、手足の水ぶくれは痛みがなく、口の中の痛みで

食欲が減退することもある。

2)水痘(すいとう)(みずぼうそう)

 水痘ウイルスによる感染症である。水を持った赤くかゆみを持った発疹が、口の中から

陰部、頭皮(とうひ)の中まで全身に出る。発疹は2〜3日でピークになり、その後に乾いて黒い痂疲(かひ)

(かさぶた)になる。1週間位で症状が改善する。

3)帯状疱疹(たいじょうほうしん)

 みずほうそうに一度罹ったことのある子が何年かたって再発したものが帯状疱疹である。

同じ水痘ウイルスであってもかゆみではなく痛みを感じる。小さな水ぶくれが背中から胸

まで肋骨に沿って帯状に出来るが、顔や腰に出来ることもある。

 

参考図書

1.日本外来小児科学会編著、お母さんに伝えたい子どもの病気ホームケアガイド第4版、

医歯薬出版(株)、東京2013

2.末廣豊、宮地良樹:小児の皮膚トラブルFAQ、(株)診断と治療社、東京2008

 


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